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2010年08月20日

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」 (京都市東山区)

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

毎年8月7日から10日まで、京都清水寺にほど近い五条坂一帯が露天のテントで埋めつくされます。これが夏の京都を彩る風物詩として知られる「五条坂 陶器まつり」です。

古くから五条坂界隈は清水焼の産地として栄えた町で、今でも多くの陶器店が立ち並ぶ観光名所となっています。ここに京都や丹波などの近隣の窯はもちろん、備前・瀬戸・信楽・美濃など全国各地の窯元や陶器店が集まり、700mにも及ぶこの坂の歩道がまさに陶器一色に染まる4日間です。

東西に走る広い五条通の両側にある歩道のそのまた両側にお店が立ち並ぶので、延べにすると約3kmにも及ぶ計算に。主催者発表では、ここに400を越えるの陶器のお店が集まり、全国から40万人ものやきものファンが集まるのだそうです。

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

東・西・北の三方を山に囲まれた京都の夏は想像を絶するほどの蒸し暑さ。
陶器まつりの開催時間は朝9時から夜11時頃までなので、少しでも涼しいうちにと思い、朝の9時過ぎに五条坂に到着いたしました。

開催3日目の月曜日とあって、さすがにこの時間に開いているお店は全体の約半分ほど。お客さんの数もまだまばらだったので、まずは涼と情報を得るために、五条坂はずれで見つけた老舗の風情漂う喫茶店に入ることに。

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

お店に居合わせた地元商店街の人らしきご老人によると、もともとは地元清水の窯で出た傷物や半端物を格安で販売する陶器市がお祭りのルーツで、かつては祇園や大阪の料理店などが大量に皿や椀を買い付けに訪れる市として大いに賑わったのだそうですが、最近では販売ルートの変化などにより、そうした店舗向けの大きな商いはめっきり減ってしまったのだとか。
かわりに、年々観光色がまり全国から多くの人が訪れる陶器イベントとして定着し、現在のスタイルになってきたのだそうです。

そようなウンチク話をうかがっている間にいつしか10時。マスターの入れる美味しいコーヒーとためになるお話しをありがたく頂戴し、陶器まつり会場へと向かいました。

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

いかにも値の張りそうな見事な清水の器から「どれでも100円」と書かれた箱に山積みにされた茶碗や湯飲み、個性的なデザインの作家作品や、遠く岐阜や岡山から出店の窯元の焼き物など、歩道は幅広いジャンルの陶器でいっぱい。
骨董店や漆器類のお店なども顔をのぞかせ、どこからともなく漂ってくる屋台のソースの香りがお祭り気分を大いに盛り上げてくれます。

五条通を挟んで北側には老舗の陶器店が並んでおり、歩道にも地元清水のお買い得品を並べるお店が多い印象。
南側には若手の陶芸作家さんや丹波・近江などで個人窯を構える作り手の方々が直接焼き物を販売されるお店が多くみられました。

せっかくの機会なので、一通り撮影を済ませたあと、前々からひとつほしかったプライベート用の蕎麦猪口を探しながら、五条通南側に出店されている陶芸家の方のお話しを伺うことに。
取材だけの予定が、いつの間にやら買い気満々になってしまっている、やはりこれが「お祭り」のいいところなのでしょう。

この夏は少々厳しい懐具合なので「予算1000円まで」と自分に言い聞かせて歩いていると、「1個500円」の札の箱に入ったキレイな柄入りの蕎麦猪口が目に飛び込んできました。
デザインも面白く、お店に並ぶお皿や器も華やかで印象的な柄が多く並んでいます。

このお店「つくも窯」の十場(じゅうば)さんによると、この華やかなお皿は古代ヨーロッパなどで用いられた「スリップウェア」という技法で絵付けをされているとのこと。
いろいろお話をうかがううちに、十場さんの窯がわたしの地元のすぐ近くであることも判明。地元話にも花が咲き、いつしかさきほどの蕎麦猪口を購入しておりました。

希望の品も手に入れたので、あと数人の方にお話をうかがって帰ろうかと考えていた矢先、何とも私好みの朱に色づけされた蕎麦猪口を並べるお店に出逢いまいました。

お店には蕎麦猪口のほかにもカップや茶碗などが並び、いずれも素朴な中に愛着を覚える朱の絵付が施されています。
東近江市の作家・奥川さんの作で、いずれもご自身の調合による朱色で上絵付けされているのだとか。なんとも味わいのある色合いです。
財布の中身をのぞくと、ちょっと厳しいご様子だったので、取材がてらお話を伺うだけにして、後ろ髪を引かれる気分でお店をあとにいたしました。

少し歩くと、今度は何とも優しげなブルーを身にまとったかわいいコーヒーカップに遭遇。背後から「安くしとくよ!」と声をかけてくださったのは、四日市市の「けむり陶房 苫屋」として活動されている作家の苫米地(とまべち)さんでした。

なんとも魅力的ではあるのですが、ソーサーとセットで、そこそこ良いお値段。自分使い用にしたいのでソーサーは必要ないと思い、カップだけでと交渉してみると、「ソーサーといってもチョット特殊なカタチやし、お皿として売れるから構わないですよ。」と快諾してくださいました。
おまけに、値段の方もかなり勉強してくださって…。

このような値段交渉を含めたお店の方とのコミュニケーションも、五条坂のお祭りの魅力のひとつ。作り手も使い手も、陶器が好きな物同士としてふれあい、そこここで祭りを楽しむ人情味溢れる雰囲気に溢れているのでありました。

おかげで財布の中身はスッカラカンになってしまいましたが。

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

お祭りの雰囲気に呑まれてくるほど、気に入ったものは手に入れたい欲望を抑えられなくなるのも、これまた人情。
暴走モードならぬ散財モード突入してしまったようで、気がつけばコンビニでお金を引き出し、先ほど気になった朱の蕎麦猪口を求めて、奥川さんのお店にとんぼ返りしておりました。

値段交渉するのも楽しくなってきてしまったようで、あれこれ蕎麦猪口を選りながら「2つで!」という声に「それじゃあ」と反応してくださった奥川さん。
お得な買い物ができた上に、製作にまつわるいろんなお話をうかがうことができ、とても楽しいひとときを過ごすことができました。

全国最大規模ともいわれる京都五条坂の陶器まつり。あまりに多くのお店に出逢えるので、目的を絞ってから出かけないとあっという間に一日が終わってしまうイベントです。
暑さ対策はもちろん必須ですが、お財布のヒモがゆるみっぱなしになるのにも注意が必要かもしれませんね。

出店者の皆さん、猛暑の中での4日間、お疲れさまでした。来年も楽しみにしております。

そして、エピローグ。

五条坂をあとにして帰路についた途中で、二つ購入した朱の蕎麦猪口がひとつしかないことに気付き…。
どこかで落としたのかなどとあれこれ考えながら、念のため先ほど名刺をいただいた奥川さんの携帯に電話をしてみると、なんと、話に夢中になりすぎて、ひとつをお店に置き忘れてきてしまっておりました。(お恥ずかしい)

京都の夏の風物詩「五条坂陶器まつり」

奥川さんはご親切にも、後日郵送くださるとおっしゃってくださいましたが、お安くしていただいた上にそれは申し訳ないと思い、近いうちに引き取りさせていただくことと相成りました。
京都の手づくり市などに出店されることも多いそうなので、近々、奥川さんのお店に伺う機会を設けたいと考えております。
いずれ、その模様なども別のレポートでご報告できるかもしれません。

かわいい朱の蕎麦猪口の相方との「再会」を楽しみに待ちわびる日々というおまけも付いた、そんな五条坂の一日でした。

「京都五条坂 陶器まつり」についてはイベント情報のページでもご紹介しております。

京都五条坂 陶器まつり

こんなお店に出逢いました

つくも窯さん

つくも窯さん

十場天伸さん

神戸市北区に工房を構える十場天伸さん。個性的なスリップウェア柄の器が印象的でした。

つくも窯

けむり工房 苫屋さん

けむり工房 苫屋さん

苫米地正樹さん

三重県四日市市に築窯して活動されています。コーヒーカップのブルーは五条坂一鮮やかでした。

奥川ユウジさん

奥川ユウジさん

奥川ユウジさん

滋賀県東近江市で活動されています。京都方面の手づくり市などにも出店されておられるとのこと。
蕎麦猪口の相方との再会の日を楽しみにしております。

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