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2020年04月14日

(特別編)台所の育て方ー「居場所としての台所」前編

こんにちわ。岳中爽果のパートナーのはじめです。
2018年、2019年と爽果さんの個展初日にお料理を提供しています。

今年もまた料理帖の更新を予定していますが、
今回は趣佳さんから宿題をいただき、
特別編として「台所の育て方」について改めて考えてみました。

ちょっとおこがましい気もしますけれど、
僕はお料理をする場として台所がとても好きで、
もしかしたらお料理というのはその副産物なのではないかという気さえします。
台所の装備にお金はかけていませんが、
手間と愛情をたっぷりと注いでいます。時間だってかけています。
今お使いの台所に少しでも「違和感」や「引っかかり」がある方の
参考になればと思っています。
「整理整頓」についての僕なりの考え方もまとめてみたので、
この機会に家の中の気になっているところを
手直しするのもいいかもしれません。

あ、画像もご用意したのですけれど、

残念ながら爽果さんの器はあまり写っていないので期待しないでください。

 

 

□  居場所としての台所………………………………………………………………………

 

台所という場所は、公開のような、また自分だけの密室のような、
ふしぎなところである。
しかも火水の道具をそなえ、刃物があり、血を流すことがあっても
平然としていられる部屋である (幸田文『台所帖』)

 

ときとして、自分の食べるものが、その日一日のなかで自分の生み出した
唯一の価値あるものであることもある。・・・
それゆえ、懸命に努力をする人が正気でいられる場は台所である。
(ジョン・アーヴィング『ガープの世界』)

 

台所に関して僕が好きな文章です。

幸田文は1904年生まれの随筆家で、
父親の幸田露伴に家事を含む生活技術を仕込まれました。
幸田露伴がどのように生活技術を獲得したのか、
むしろそちらが不思議でなりません。

ジョン・アーヴィングは1942年生まれのアメリカの小説家で、
村上春樹がたくさん翻訳を手がけています。
村上春樹も小説の中でたくさん美味しそうな食べ物を作ったり、描写しています。
幸田文の文章には台所の「ふしぎ」が端的に描かれていて、
ジョン・アーヴィングの文章には台所の神聖性のようなものが
描かれているように思えます。

いずれの文章も、「食べること」をとても大切にする価値観と、
だからこそ「作る場所」としての台所を特別なものとして
位置付ける意識が現れています。
そして、直接には表現されていませんけれど、
「居場所としての台所」という認識がこれらの文章には流れています。

「居場所としての台所」の滞在時間を考えてみます。
僕の日常では多分毎日3時間くらい。
作る時間に片付けする時間も加えると、
少なく見積もってもそれくらいにはなると思います。
朝1時間、夜2時間。昼はまとまったものは食べないのでそれくらい。

毎日(外食の機会があまりないのでほぼ毎日)3時間過ごす場所が、
自分にとって快適な環境だったらどんなに素敵でしょう。
快適さは見た目ではなく、僕は機能が生み出すものだと信じています。
そして機能は美しい。
見た目は後からついてきます。
あるいは機能を伴わない美しさは幻だとも思います。
快適な環境で作られる料理には、作り手の気持ちよさが反映します。
この文章では使い勝手のいい台所を育てる、ということを考察していますが、
「居場所としての台所」という視点を随分と意識しているような気もします。

今回画像で紹介する我が家の台所は、
2016年秋に中古住宅を改築して調えたものです。

台所を調えるにあたって考えたことは、
光が入り、風が通る、袋小路は怖い、という3点です。
いわばこの台所の土台となる価値観です。
システムキッチンは最初から検討対象に入っていませんでした。
台所に隠したいものはないので扉も引き出しもつけませんでした。
これらは風を通しません。クローズドキッチンは逃げ場がないので怖いです。

 

はじめさんの料理帖

 

我が家の台所全景。

一応「アイランド型」ということになるのだろうか。
扉はつけていないし、引き出しもない。

・3段の棚は、最上段でも手を伸ばせば届く高さに抑えている。
最上段には軽いものを。

・上から2段目の棚には大皿の他、僕が盛り付ける時に使う器を置く。
味噌汁椀はあるけれど、飯碗はここにはない。

・一番下の棚は、包丁、カトラリーを置き、空白スペースは料理中に
切り分けた具材を置く。

・コンロ右上の野田ホーローは、料理中に出る生ゴミ入れ。
トマトのヘタは洗ってから取るのではなく、洗う前に取ってここに入れる。
ビニール袋で受け、毎晩新聞紙で包んで流し下の生ゴミ専用の野田ホーローストッカーに移す。

・その右はメジャースプーン、カップと浄水器の定位置。
マイクロファイバー布巾に網を乗せている。

・手前の作業棚は無印良品のユニットシェルフを二つ並べたもの。作業スペースはここ。

・作業台の上の魔法瓶には、冬は白湯、 夏は冷たいお茶(ほうじ茶とそば茶のブレンド)が
常に入っている。 湯は鉄瓶でまとめて沸かし、夏は水出しのお茶を入れておく。
冷蔵庫を開ける回数が減る。

・2本の作業台のうち、流しに向いた作業台の棚にはボール、
バットといった料理道具と、ごみ処理用の新聞紙や指定ゴミ袋、
そして乾物を入れたブリキ缶を置く。裏方の詰所となっている。
手前の作業台の棚には銘々が使う取り皿、カップなどを置く。

・作業台右側は昔使っていた事務机。実はこの机には台所唯一の引き出しがあり、
ラップ、ホイル、ワインオープナーといった小物が収納されている。

・左側のスチールシェルフも無印良品のもの。
電子レンジはあまり好きではないし、使用頻度も大したことはないので、
この下に置いて目立たないようにしている。オーブン機能は重宝している。

 

____________

今日はここまで。

明日は引き続き「台所を育てる」「台所の機能」の更新です。

はじめさんの台所の写真、まだまだでてきますよ〜。

どうぞ、お楽しみに。

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